「おもちゃって.......そんなわけないでしょ」


「いやいや、おもちゃってたとえだよ」



おもちゃとは思ってないにはしろ、自分が一番最初にみつけたあたしをほかの人に見せるのを嫌がっているという感じ。
やっぱり子供がおもちゃを取られたくないのと同じ感じだと思うんだ。



「さぁーて、応援頑張るかぁー」



アズとふたり、観客席の空いている席に腰をかける。



「あ、なんか来てる」



ずっとポケットに入れていたスマホのいつの間にか通知ランプが光っていた。


──応援のとき、俺の名前叫んでくれよ!


大我からだった。


きっと、練習が始まる前に送ってくれていたんだろう。



「大声なんて出せないって分かってるのに.......」



大我やアズ、慎吾に対しては自分をさらけ出せるようになったけど、他の人たちの前ではやっぱり目立つことなんかできない。

ただでさえ、大我と仲良くしていることで女子たちからの反感を食っているというのに。

それでも、大我と仲良くするのをやめたいとは思えないから、不思議なものだ。