「わぁ、碧ちゃん可愛い!」



あたしの髪の毛をセットしてから、水戸さんがあたしのメガネを外す。



「メガネを外す必要は.......ない気が」



この学校で、必要以上に自分をさらけ出したくなくて、水戸さんからメガネを奪ってかけ直す。



「そうだ、そうだ外す必要はなーい!」



なぜかそんなあたしに同意する杉浦くん。



「ははーん.......あんた、碧ちゃんが本当は可愛いこと隠しておきたいんだ?」


「.......なっ、何言って!そんなんじゃねぇし!」



顔を赤くして教室から出ていく。



「なんかデジャブ.......」


「だな。この前もあいつ、あんなふうに逃げてったな」



松波くんがゲラゲラと笑っている。



「えっと.......杉浦くんって、もしかしてバカなの?」


「もしかしなくてもバカだよ」


「学級委員やってるくらいだし、バカではないと思ってました.......」



それはもう、素直にそう思ってた。
人一倍明るくて、バカっぽくて、でも空気は読めるし人の心には敏感だし。
きっと、成績はいいんだって思ってた。