『碧、ごめん!』

「え?なに、どうしたの?」


月日は流れ、11月。
あたしの誕生日がやってきた。


『ちょっと友達の親が倒れて病院付き添うことになっちゃって』

「え、大丈夫なの?」

『そいつ、母親しかいなくて、結構ヤバめでさ。付き添い終わったらすぐに戻るから!誕生日なのに、ごめんな』

「大丈夫だよ。かえってくるの待ってるね」


その言葉を最後に電話をきる。

夏祭りから今日までは何事もなく、平和だった。
平和ボケしてしまいそうなくらい、平和で。
でも、いままでがちょっとおかしかっただけだから「これが普通だよね」って大我とは話してた。

あたしの誕生日だし、一緒にいたいのはたしかだけど、友達のことを放っておけないのが大我だって知ってるし、そういうところがあたしは好きなのだ。
これが友達の大変なときに放っておくような男だったら好きになってないかもしれないね。


「大我が戻るまで暇になっちゃったなー」


うーんと伸びをして、せっかくの誕生日を部屋のなかで過ごすのは勿体ないからと、散歩に出ることにする。


「誕生日ってだけで、なんか特別な日になっちゃうの凄いよね」


今日はたまたま平日じゃなかっただけで、普通の休みの日に変わりはないのに、誕生日に休みだってだけでツイてるような気がてしまう。