「お待たせ」

「おう」


あたしのことを待っていた大我の服の裾を引っ張るとニコッと笑いかけてくれる。


「浴衣.......「お、碧!浴衣じゃん。めっちゃ可愛い」


大我があたしに向かって口を開いた瞬間、反対側から腕をひっぱられる。


「や、大和.......」


あたしの顔を覗き込んでくる大和に何とも思わないわけじゃないけど、サッと顔を逸らす。

今日は夏祭り。
本当は大我とふたりで来る予定だったのに、なぜか大和とサクと六花がいる。
あれから六花がサクと仲良くなって、夏祭りみんなで行こうという話になったんだとか。
サクは地元にみのりんという彼女がいるから、ふたりで行くわけにいかないのはわかるけど、どうしてあたしたちふたりがそこに入らなくてはならないのだろう。


「大我?」

「んーん。なんか食べ物食べようぜ」


あたしの手を握って歩き出す大我。
さっき、少し様子がおかしい気がしたけど、気のせいだったみたい。


「お祭りといえば花火がメインなのに食べものー?」

「はぁ?碧のために言ったんですがー?」

「もう!そんなに食い意地はってないもん!」


いつもの調子で話し出すあたしたちに「お前らなかいいな」とサクが笑う。