恋なんて、しないはずだった

「あの時ああしてなけりゃ、よかったんだよな」


記憶を辿れば辿るほど襲ってくる後悔。
瑠樺とは家が隣の幼なじみ同士で、小さい頃から常に一緒にいた。

でも、そんな俺の態度は勘違いを与え「ごめん」と謝った俺に「なんで!?あたしのことが好きだからいつも一緒にいてくれたんでしょ!?」と瑠樺に詰め寄られたのをいまでと覚えてる。

瑠樺がそうやって俺を想ってくれてるのも全く気づいてなくて、きっと瑠樺も自分のことを家族的に思ってくれているものだと思っていた。


「全部、俺の思い込みなんだよな。悪いとは思ってるけど.......」


だからといって、今日のことを許せるわけじゃない。
俺の近くにいる瑠樺が妬まれて、虐められていたことなんか気づかないで。
そんな日々に耐えられなくなった瑠樺が引っ越す前に「離れたくない」と泣いた瑠樺のことをちゃんと突き放してあげるべきだったんだ。

あの時、恋なんて面倒なだけだし俺はすることもないって思っていたのに。
気づけば碧のことが大好きな俺がいる。

こうして瑠樺がくるとやっぱり、恋愛は面倒だと思う。
でも、碧のことだけは別で全然面倒になんて感じないから不思議なものだ。