「.......お前、もう帰れよ」

「嫌だ」

「.......ったく。いい加減にしてくれよ、瑠樺」


執拗に鳴る電話に応答したのが間違いだったのか、電話に出て数分後から今になるまでコイツはなぜか俺の部屋に入り浸ってる。


「彼女に疑われるからー?」

「見られない限り疑われないし、まず疑われるような状況を作らない。だから、帰れ」

「あの大我が好きな人なんて出来るとはね」


ニヤっと笑う瑠樺と再会したのは最近のこと。


「うるせー.......っとなんだよ、これ」


メッセージアプリに並ぶ記憶にない言葉たち。


「大我がトイレ行ってる間に返信してあげた」

「いやいや、これじゃあますますお前帰れよ。碧きちゃうじゃん」

「もう来たんじゃない?」

「.......へ?」


可笑しそうに笑う瑠樺に嫌な予感がする。


「さっき、もっとちょーだいって言ったとき」

「は?」

「碧ちゃんが来たからわざとそれっぽく言ったの」

「は?お前.......なんで碧のこと」


気にするべきはそこじゃなくて、碧のことなのに、そっちが気になって仕方なかった。


「同じクラスなんだよね。碧ちゃん」

「お前かよ、碧が苦手意識もってた〝瑠樺ちやん〟って」

「あはは、普通隠さないー?大我ほんとーにかわってないね」


腹を抱えて笑い出す瑠樺。