「まずは人気のない校舎から探しますか」

「それならここですね」
放課後になると旧校舎に来る者はほとんどいない。

少し先にある体育館からはバレー部達の声が聞こえてくる。

「でもそんな黒い影が追いかけてくるだけで何もしてこないなら何が目的なんでしょうね?」
私は不思議に思いながら夜月さんに聞いた。

「さぁ彼らのしたいことなんて貴方を自分の力として使うことしか分かりませんけど?」

前世の頃から私の執事兼,担当医師として関わってきた人の言い方とは思えない。
多分この人は私のことを信用していないんだろうと思うけど普通の乙女ゲームなら信用して私のこと守とかしてくれるのに!と心の中で考えながら影を探していた。

「全然いませんけど?本当に」

「「キャー‼︎」」

夜月さんの声に被るように女子生徒の悲鳴が旧校舎の廊下で木霊した。

「急いで向かいましょう!」
私は急いで向かおうと走り出した。