晴れ所により雷雨、所により告白【続編完結】

 龍のアドバイスに従って、私は週末、雪菜の家を龍と共に訪れた。

お土産と出産祝いを兼ねて、オーストラリアで購入したカラフルなベビー服を渡すと、

「うわっ! かわいい!!」

と、とても喜んでくれた。

晴空(せいら)ちゃんだったよね?」

メールで教えてもらった名前を呼びながら、その小さな手に触れてみる。

小さな指がキュッと私の人差し指を握った。

「かわいい〜!!」

赤ちゃんがこんなに愛らしい生き物だとは思わなかった。

「この子の誕生日は、晶たちの結婚記念日
 なんだよね?
 なんか、運命を感じるよね。」

そう言って、雪菜は笑う。

「ああ、そっか。そうだよね。
 じゃあ、私、一生、晴空ちゃんの誕生日
 忘れないわ。」

私が、そう言って笑うと、雪菜はちょっと顔を曇らせて尋ねる。

「ねぇ、晶、会社で智也のこと、何か噂に
 なってる?」

私は、思わず龍と顔を見合わせた。

「会社でっていうか、同期の間では、噂に
 なってるよ。
 突然、辞めたから。
 雪菜、何があったの?」

「うん。いろいろね。
 でも、その前に、謝らせて。
 晶、ごめんね。
 私、智也に言われるまで、知らなくて…
 私、晶にいっぱい辛い思い、
 させたんだよね?」

っ!?

「それ、智也が言ったの?
 なんで今さら!?」

私が、思わず声を荒げると、龍が落ち着かせるように肩を抱いてくれた。

「晶、課長は…?」

雪菜は窺うように龍と私の顔を見比べる。

「大丈夫。全部知ってるから、気にしないで
 溜め込んでること吐き出しちゃって。」

私が促すと、雪菜は、晴空ちゃんを抱きしめながら、ぽつりぽつりと話し始めた。