寝過ごしてしまった。目が覚めると、窓から見える太陽はもう高い位置から村を照らしていた。

たかがビールで悪酔いしてしまったのか、頭ががんがんする。全く情けない。

遅い朝食をとろうと着替えを済ませて部屋を出ると、廊下をうろうろしている主人と目が合った。

主人は挨拶もそこそこに、信山を知らないかと尋ねてきた。

「信山さん、何かあったんですか」

「はい。実は、姿が見えないのです。あの方はいつも早起きで、朝食もきっちり決まった時間に召し上がられるのですが、それが今日に限って、部屋からなかなか出てこられないもので。それで私少々胸騒ぎがいたしまして、お声を掛けて部屋のほうを開けさせていただいたところ」

「いなかったと」

「はい」

「ふーん」