「お兄さんが思う通り、あの鈴にはすごい能力があるんだよ。もう、知ってるでしょ?」
「もしかして、タイムスリップできるってこと?」
「そう。お兄さんは、一年後の、七月一日から一年前に戻ったよね。それ、あの鈴の力なんだ」
すごいでしょ、と微笑む姿が、どこかの夜空に似ている気がした。
「まあそういうことだからね。お兄さん、たくさん話してくれてありがとう。それじゃあね」
「待って」
どこかへ行こうとするのを止め、あることを聞いた。
「あのさ、もう一度時間を戻す事ってできるのか?」
「……できるよ。でも、ちょっと難しいかも」
難しい?どういう意味だ?
疑問は浮かぶが、口に出さなかった。
あまり聞き過ぎて、この子を困らせたくはない。
「お兄さん、この世界に来たとき、どうやって来たのか覚えてるよね?」
「もちろん」
「じゃあ、また同じことをするんだよ」
……同じことなのに、難しいのか?
それは謎だ。
だってあの時、桜の木の横で鈴を落としたってだけでここに来たんだから。
そう思っている間に、女の子は下を向いて何かをブツブツと呟いた。
