「咲夜っ!」
一瞬速く、彼女は僕の肩を強く押して突き飛ばした。
体が僅かに中に浮く。
ドンッと僕の背中に痛みが走るのとほぼ同時に、鉄の塊が彼女を包んだ。
地が割れるような音が、辺りに響く。
さっきの看板が落ちてきたことで硬直していた人達は、また叫喚の声をあげた。
誰かが「救急車をっ!」と言うのが聞こえた。
じわじわと赤いものが歩道を染めていく中、僕だけはただ呆然とその光景を見ていることしか出来なかった。
あれだけ「僕が守る」なんて言っていたのに、また同じ結末になってしまった。
去年は、まだ事故だったとしても今日は、
今回は、僕が一緒だった。
未来を知っている、自分が側にいた。
なのに……守れなかった。
なにが「大丈夫」だ。
なにが「必ず救う」だ。
そんな事、全部嘘でしかない。
「クソッ……!!」
なんて馬鹿なんだ。僕のせいで、また夜空は死んでしまった。
ちゃんと確認した訳ではない。でもこの血の量は、異常だ。
だから、もう……。
「うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
涙で視界が滲み、何度拭っても溢れる。
もはや雨なのか涙なのかもわからない。
でも。
悔しかった。
看板の後、部品が落ちてきた時、
何も出来なかった自分が。
ただただ、悔しかった。
