星空の下、ふたりの約束


365日前に、何をしていたのかなんて覚えている人は少ないだろう。


その日に何か大きな出来事があったのであれば話は別だが。


その例に習い、自分も今日7月2日にどんなことが起きたのかなど1ミクロンも記憶になかった。





「あの、月島咲夜くん、ですよね」


「うん、そうだけど」


放課後、いつもより少しだけ帰りが遅くなった僕は、本来夜空と帰る予定だった所を委員会の仕事というとんでもなく迷惑なものを押し付けられたために一人で玄関で靴を履き替えていた。


不意に話しかけられ、振り向いたところには初めて見る顔があった。


「良ければ、今時間いいかな」


「いいよ」


ここだとちょっとあれだから、移動しようと提案し、ひとまず教室へ。


風を受けてふわりとなびくカーテンの隙間から、昼間よりも僅かに弱くなった日差しが差し込む。


よくある漫画のワンシーンみたいだと思った。


「それで話って……?」


「真剣に、聞いてくださいね?」


「うん」


「私、四月の入学式のときに、体調が悪くてフラフラしているところを月島君に助けてもらったんです。覚えてません…よね」



「いや、覚えているよ。あの時確か、保健室に連れて行こうとしたけど場所がわからなくて……ウロウロしてたら先生に見つかって怒られたんだよね、入学式の最中だったから」


さっきまで、初めて見る顔だ、なんて思ったのは誰だったか。


「そう!でもそこで、月島君が事情を丁寧に話してくれてなんとか収まったんだよね」


「そうそう。なんか懐かしいね」


自然と笑みがこぼれる。 


「そう、なんですけど……あの後からずっと、言いたいことがあったんです」


それからひと呼吸おいて、彼女は言った。