『邪悪な魔女がっ!!』
『人でなしっ!』
『うちの子を元に戻せっ!!』
そんな罵声響く群衆。
中には夜音と僕が助けた子供の両親や身内の人間まで。
夜音の血によってどうやら子供や家族に変な力が芽生えたという輩の暴動。
そんな人間を煽って集めさせたのは領主であったのだろうが。
ふざけるな。
なんでもいいから命を助けてくれと縋ってきたのはお前らじゃないか。
助けた直後は泣いて喜び感謝したくせに。
おかしな力が宿った?
それがなんだ!
だったら死んでたほうがよかったとでも言いだす気なのか!?
ほら見ろ夜音!
どんなに尽くそうが痛みを被るのはこちらばかりだ。
人間なんて自分勝手で都合のいい生き物なんだ。
僕の村の奴らとどいつもこいつも変わらないっ!
こんな奴らどうでもいい!
僕と二人でっ___。
『処せっ、』
「っ_____!!」
群衆をかき分けようやく夜音の姿を捉えた刹那だ。
無情なる刑執行の声が響き次の瞬間にはザンッと鈍き無情な音が響き。
直後にドンっと転がり落ちた夜音の頭。
ああ、長く綺麗な濡れ羽色の髪が土まみれで絡まりあって。
薄紅の頬も唇も今は青白く硬く見える。
中途半端に開いたままの双眸はもう何も映してはいないただの水色のガラス玉に等しい。
もう…何も。
僕の事も…。
その瞬間に視界に溢れていた色彩は褪せて灰色に染まり。
聴覚は音を拾うことをやめていた。
周りの民衆は沸き立った歓声を上げ続けているというのに、無声映画の如く無音。
自衛だったのだと思う。
精神が崩壊しないための。
いや、いっそそこで崩壊してしまえば。
あのお嬢さんのように自分を崩壊させてしまっていれば。
良くも悪くも……夜音の所為だ。
夜音の呪い。
『………私を探して?……来世は…貴方のために』
あの最期の呪いによって僕はまた彼女に生かされてしまったのだ。
本当に……どこまでも人を翻弄する最悪な魔女め。



