何気ない会話をしていた。それこそ、物語に書かれていたようにあたしたちは二人で登校していたんだ。 気が付かなかった。 向こうからやってくる車の音にもう少し早く気付いていれば、何か変わったかもしれない。命だけは助かったかもしれない。 それでもあたしは、自分の話に夢中になっていたんだ。パターン化した会話だった。 それが、希衣の最期の言葉になるなんて思いもよらなくて。 『大丈夫だよ。絶対出せるよ。人生は長いんだし、優ちゃんの作品、大好きだもん!』