愛を捧ぐフール【完】

 そのうちの1人が、貴族議会で見た者だったからだ。


「ペルディッカス……」


 クリストフォロス様に隣国の王女様との婚姻を持ってきた、人だった。
 ポツリと呟いた声は掠れていたけど仄暗くて、近くにいて耳に拾ったらしいイオアンナがびっくりした顔で私を見る。


「いやぁ、陛下のご側室様が懐妊されたのはおめでたい。これで婚姻のお話を持ち掛けたペルディッカス殿の地位も安泰ですな」


 ペルディッカスとほぼ年は変わらない位の輪の中の1人の男が、ペルディッカスを褒め称える。ペルディッカスも嬉しそうに頷いた。


「そうだな。エレオノラ王妃様の実家の勢力もこれで削がれるであろうよ」

「ははっ。流石にかの家は力を持ち過ぎておりましたからね。面白くない者も多かったと思われますな」

「ああ。私がこの話を持ってきた時陛下は反対されたが、貴族議会の面々はほとんど賛成していたからな」