……なんて、私、本当にそう思ってるの?


 貼り付けた笑顔の下で、自分に問いかける。
 嫌だわ。嫌。私きっと、醜い女みたいになっている。


「ありがとうございます。エレオノラ様。侍女達も心を砕いてくれているのですけれど、やはり心細い時があって……、エレオノラ様がそう仰って下さるだけで感無量です」

「大袈裟ですよ、テレンティア様」

「ふふ。エレオノラ様、仲良くして下さると嬉しいです」

「こちらこそですわ」


 純粋な笑みを浮かべるテレンティア様に私も微笑み返す。
 口から出る言葉が、妙に滑るように私の頭の中に入ってこなかった。


 出してある茶菓子にテレンティア様は手を伸ばす。
 テレンティア様は一口そのお菓子を食べてから、顔を青くして口元を抑えた。


「テレンティア様?!」

「申し訳ございません。折角のエレオノラ様とのお茶会なのですけれど、少し疲れが溜まっていまして……」

「あら……、それはこちらこそ申し訳ないことを致しました。言って下さればよかったのに……」

「いえ、毎日の事ですから仕方ありません。あの……その、あまり声を大きくして出来ないお話なのですけれど、クリストフォロス様が夜遅くまで寝かせてくれなくて……」