愛を捧ぐフール【完】

「私は大丈夫です。昔、お伝えしたでしょう?」


 今にも泣きそうなクリストフォロス様に、にっこりと美しく微笑んでみせる。
 顔が歪んでないといいのだけれど。


「ずっとずっとエレオノラはクリストフォロス様を愛しております」


 私の言葉にクリストフォロス様は息を呑んだ。
 もう何年も前、彼と結婚する前に伝えたあの言葉が私をずっとずっと縛り付けてる。


「……うん。僕もエレオノラだけだから、ずっと」


 少し上擦った声で頷いた彼は、ゆっくりと目を閉じた。目の下に隈が出来ている。その姿がまだ彼が20歳なのに、かなり年老いて見えた。


 クリストフォロス様はゆっくりと私を抱き寄せて、肩口に顔を埋める。


「……そうだね。ごめんね。僕が君をそうしたんだね。僕は……、僕は夫失格だね……本当に」