愛を捧ぐフール【完】

 私もいきなりの事に肩をビクつかせて彼を見るが、彼はペルディッカスを今にも殺しそうな勢いで睨んでいた。


「あちらの国王が申しますに、我らが希望した一部の領地の譲渡に関しまして、流行病の影響がとても残っていて、我が国王に献上出来る程ではないと……」

「だからといって、代わりに示した条件を呑めと申すのか?!」


 一向に収まらないクリストフォロス様の怒りに、どうしようもない不安を、嫌な予感を感じた。


「陛下、お考えください。隣国の王女を娶れば、人質にもなりますし、何より隣国の王女との間に御子が出来れば次代が隣国との橋渡しにもなります」


 〝隣国の王女を娶る〟。
 言葉はちゃんと聞こえたけれど理解が出来なかった。いや、りかいしたくなかったんだ。

 隣国唯一の王女は、こちらにも大層美しいと話が伝わって来ている程有名な人。
 その場の人間でいち早く反応したのは、私のお父様だった。