愛を捧ぐフール【完】

 だからお願い、たまにでいいから思い出して。
 彼との思い出が、綺麗であるうちに別れさせてほしい。


 きっと、私は認められない。
 クリストフォロス様が違う女の元に通う事を。知らない女が彼の隣にいる事を。


 だから、私が嫉妬で醜くならないうちに。どうか。どうか。


「認めないよ、僕は。君にはずっと僕の傍にいてもらう」

「お願いします。クリストフォロス様……!」

「絶対に認めない。僕は……、僕は先程の言葉は聞かなかった事にする」


 皆もそのつもりで、と部屋の中の全員に命令を下したクリストフォロス様は、僅かに陰った薄氷色の瞳に私を映す。


「ごめんねエレオノラ。僕は君を離してなんて、やれそうもない」