愛を捧ぐフール【完】

 彼に言われるくらいなら、自分で言った方がマシだったんだ。


 近くにいた、私にずっと付き従ってくれた仲の良い侍女が私の言葉に息を呑む。宮殿医は既のところで刃から逃れられたのもあってか、腰を抜かしたまま固まっていた。


「僕は……」


 徐々にクリストフォロス様の顔から血の気の引いていく。私が言い出すのは、予想出来ていたはずだ。


 愛している。
 かつても今も変わらない私の気持ちは、彼の立場を考えれば必要のないものだ。


 彼は王太子様、女として子供の産めない私は彼にとって今や必要のない人物。


 だから、彼に捨てられる前に言いたかった。自分の手で終わらせたかった。


 愛しているから、彼の負担になりたくなかったの。
 愛しているから、捨てられる事に怯えてしまったの。
 愛しているから、他の女の元へ通う彼を間近で見たくないの。