愛を捧ぐフール【完】

「ファウスト様。実はお耳に入れておきたい事が……」

「どうしたんだい?」

「グローリア王妃がクラリーチェ嬢に目を付けました」

「そうか……」


 予想はしていた。アルフィオの母親であるグローリア王妃が、アルフィオの周りを彷徨(うろつ)く蝿を叩き落とさない筈がないから。


 それはアルフィオの側近であるフィリウス侯爵家の嫡男でも同じなのだろう。


 第二王子派に害を成す者を許す人ではない。醜聞なんか王妃は絶対許さないだろう。


「ファウスト殿下。どうなさいますか?」

「クラリーチェを影から護衛してくれ。絶対に僕の手の者だと悟られないで。まだバレる訳にはいかない」

「分かりました」


 正直、クラリーチェとセルウェス伯爵の婚約に首を突っ込まれると、僕達の計画に支障が出る。


 フィリウス侯爵家に上手いこと横槍を入れられたら困るのだ。レオーネ男爵の事だ。フィリウス侯爵家と婚姻を迫りそうだが、クラリーチェの肩身も狭くなりそうだし、何より結婚してしまったら手出しがしにくくなる。