ペルディッカスと名乗った彼は、まだ年若いながらも優秀な人物らしい。謁見の間で堂々と提案した。


「我がアルガイオの国王陛下にホノリスの王女殿下を嫁がせてはいかがでしょう?アルガイオと致しましては、ホノリスを侵略しようとする蛮族に対して、我が国の妃の母国を救う為という大義名分の下、軍を派遣する事が出来ます」


 そして、ダメ押しとばかりに続けた。


「我がアルガイオとホノリスは長らく国交を断絶しておりました。ですがホノリスの王女殿下がこちらへ嫁ぎ、アルガイオの次代の御子を成されましたら、アルガイオとホノリスの関係は今後明るいものになるかと思われます」


 わたくしのお父様はずっとわたくしを国内の大貴族に嫁がせる予定だったらしく、しばしの間悩んでいた。やがて同席していたわたくしの方を向き、行ってくれるかと問い掛けた。


「はい」


 一国の王女だ。国内の大貴族に嫁ぐであろうとはいえ、国の為に尽くすのが王女の役目。
 国内の大貴族に嫁いでいたとしても、政略結婚だっただろう。国内から、国外へと嫁ぎ先が変わっただけだった。


 その時は、そんな事を思っていた。