ビアンカの尻すぼみになった言葉に、私は微笑む。
 愛を貫ぬく。聞こえだけはいいけれど、実際はもっと自分勝手で醜くて、悲しみに溢れた行動だ。


「私が私である限り、あの人を愛し続けると言ったから」


 幼い頃から多くの時間を過ごした、かけがえのない人だった。いつも一緒にいると安心した。自分の居場所がここだと知っていたから。


 クリストフォロス様しか愛した事はなかった。
 だから私は愚かな事に、この愛し方以外を知らない。


 分からないと、ビアンカからは心底不可解な視線を向けられた。
 それでも良かった。地位や周りに縛られることなく、彼と幸せになりたかった。


 それが例え誰にも理解されなくても、実現出来なくても、今世でも結ばれなくても、私はこの先も私である限り、愛し続けるのをやめはしないだろう。


「テレンティア様の気持ちが全て分かるとは言わない。でも、私の事が嫌いだという気持ちは少し分かるわ。私も昔、綺麗事を言っていたけれど、きっと嫌いだったんだわ。クリストフォロス様の子供を身ごもった貴女が。健康的な貴女が」