手を後頭部で組んで、シストはふわっと小さく欠伸をした。そして、ラウルに再び窘(たしな)められる。


「まあ、僕の出番はまだだろーし、ゆっくりしてたっていーじゃん」

「気を抜いては駄目ですよ。シスト」

「はーい」


 くるくると僕は地図を丸めながら、2人の光景を見て緩く微笑む。丸めて筒状にした地図をパンッと手のひらに打って、2人の視線を集中させてた。


「クラリーチェは無事なんだね?」

「はい。アウレリウス公の別邸で軟禁状態です。部下を付けているので問題ありません」

「ありがとう。引き続きよろしく頼むよ」


本当はすぐにでも彼女を迎えに行きたい。
ラウルからの報告によれば、彼女は軟禁状態の部屋から脱出を試みているらしい。彼女の軟禁は彼女の父親であるレオーネ男爵も認めているという事だから、異様である。


ラウルの部下を付けているけれど、やはり心配なものは心配だ。
だけれど今はこの王国の第一王子として、動かなければならない。


王国が荒れない為に。


「さあ!いよいよ命のかかった仕事だ。気を引き締めていくよ!」