アルフィオが王太子になった後を考えると、アルフィオにとってこれはとても良い話なのだ。


 そして、僕が出ることになっても、戦場で僕が殺されたらアルフィオが王太子になる。戦場なら殺せる機会は沢山あるのも大きい。


 王国軍が負けることがないという前提だけれど、グローリア王妃にとってはどちらでも勝算がある筈だ。


 というか、自分にとってどのような利益に繋がるかという考え方をしなければ、貴族社会はやっていけない。すぐに追い落とされてしまう。


 煮え切らない父上の返事に、グローリア王妃は痺れを切らしたようにアウレリウス公爵に話し掛ける。


 アウレリウス公爵が僕とオリアーナ嬢を結婚させたいと願っているのなら、僕が兵を率いる事になったら結婚が延期になる可能性があるから、頷くであろうとグローリア王妃は踏んだのだろう。


「ねぇ、アウレリウス公爵もそうでしょう?」

「そうですな」


 アウレリウス公爵も王太子である僕に何かあるよりは、と考えたのかグローリア王妃の言葉に頷いた。


「……だがなぁ。アルフィオは今軽い怪我をしておるのだ」


 サヴェリオに話した日から、アルフィオには宮廷医と示し合わせて臥(ふ)せって貰っている。怪我の理由は無難に落馬にしておいた。