ウルヘル辺境伯が討ち死にしたという知らせが朝から入り、それは瞬く間に王城内に駆け巡った。


 ここ長い間起きていなかった反乱。ウルヘル辺境伯領だけでなく、他の領地にも飛び火しては不味い。


 予想以上にウルヘル辺境伯が苦戦を強いられているとして、国王は近々増援を送る予定だったが、急遽王都に集まっている貴族の招集が掛かった。


 僕の予想は当たった訳である。


 緊急で開かれた大貴族と王国軍の隊長達と国王から成る集まりで、クラウディウス公爵家出身の将軍と王族の誰かを鎮圧に向かわせるという話し合いに落ち着いた。これも予想済み。


「陛下、アルフィオに向かわせてはどうでしょうか?ファウスト殿下はもうすぐ結婚を控えた身。何かあっては婚約者のご令嬢が悲しまれるわ」

「ふむ……」


 グローリア王妃は無理を言って色々な場に姿を見せている。それが女性の身でありながら、政治に参加するのは立派だと賢妃として名高い一方で、面白くない者達は女の身でと蔑む。


 実際、グローリア王妃はかなり賢く、色々謀略を張り巡らせるだけの事は出来ると僕は思っている。


 この反乱鎮圧にアルフィオが出ても、王太子は僕なので王位には直接関係はない。


 しかし、アルフィオに対する国民のイメージはかなり上がるだろう。その後で僕個人を秘密裏に殺しても、順番でアルフィオが王太子になる。