話し方や癖、考え方は変わらなくとも、姿形は完全に別人なのだから。


「……考えても仕方ないね。その人に会わなければ……、いや、会っても分からないかもしれないのに、今考えて分かるわけがない。引き続き何か動きがないか探ってみるよ」

「あ……、ああ。ありがとう」

「いや、礼には及ばないよ。オリアーナ嬢に何かあったらクラリーチェが悲しむからね」


 相変わらず……というか、それ以上の様子に何故か安心した。


「そうだ。アルフィオが何故僕の部屋にいるか説明していなかったね」

「……あ、ああ」


 ファウスト殿下が俺の隣に座っていたアルフィオ殿下に目配せすると、心得たとばかりにアルフィオ殿下が口を開く。


「もう何年か前になるのだが……、兄上が王太子になる前に私に王位が欲しい?と問い掛けられた。その時も、今も私は王につきたい。もっとこの国を豊かにしたい。その気持ちでずっとここまで頑張ってきたが……、父上が選んだのは兄上だった」


 それはそうだ。かつて、誰よりも国王としての才能を持っていると俺が間近で見ていて思ったのだから。
 そして、国王になった後のファウスト殿下は反則みたいなものである。