イオアンナ……現在のオリアーナと連絡が取れない。


 元々頻繁に連絡を取り合っていた訳ではないが、流石にクラリーチェが居なくなった後だと色々な可能性を考えてしまう。


 オリアーナはクラリーチェの侍女を連れていた。庭園をくまなく探した俺は、会場にいるはずであろうオリアーナとクラリーチェの侍女にそれを伝えに行こうとした。


 だが、2人の姿は会場の何処にも見当たらない。クラリーチェを連れてきたセウェルス伯爵はいたが、流石に声をかけるのは躊躇われる。貴方の婚約者はどちらですか?だなんて、聞けるはずもない。


 仕方なくもう一度外に出ようとした所で、俺の後から会場に戻ってきたらしいアウレリウス公爵に呼び止められた。


「これはこれは、立派になられましたな。サヴェリオ殿」

「アウレリウス公爵……。お久しぶりです」

「御子息がこんなにご立派になられるとは。フィリウス侯爵も鼻が高いでしょう」

「いえいえ。まだ私は若輩者、まだまだ学び足りぬ事が沢山あります」

「おやおや、ご謙遜を」


 大人の色気の滲む声で低く笑ったアウレリウス公爵は、近くの召使いにワイングラスを二客(にきゃく)持ってこさせ、俺もワイングラスを手に取らねばならない状況を作り出す。