エレオノラは高熱を出して意識の戻らぬまま、2日後にこの世を去った。
 また目を覚ましてくれるんじゃないか、そんな希望を持ってエレオノラの元に通いつめたけれど無理だった。


 朝も夜も寝ずにずっと側にいた。ほんの僅かでよかったから、もう一度目を覚まして欲しかった。


 エレオノラが亡くなったと、真っ先に彼女の実家に連絡を寄越した後、すぐにフォティオスが来て寝台に横たわったエレオノラの側に駆け寄る。


 そして、エレオノラが息をしていないと分かると、その碧色の瞳を真っ赤にして僕を睨み付けて詰なじった。


「なんで……なんで、エレオノラを解放してやらなかったんだ……?!」

「……ごめん」

「どうして……!どうして、エレオノラを帰してやらなかった?!なあ、どうしてだ?!」

「…………ごめん」


 子供の産めない王妃なんて必要ないというのが当たり前の世界で、フォティオスが言っていることは正しかった。


 僕がエレオノラを実家に帰してやれれば、エレオノラは心穏やかに過ごせたかもしれないのに。


 僕はそれをしなかった。僕が彼女と幸せになりたいと願ったから。彼女の側にいたかったから。