その力を削ぐのが安定した次代の政権を築く為に必要な事だ。


「一気に削ぐ。僕にも悠長に事を構えていられない事が起きてね」


 苦笑すると、アルフィオは分かりましたと諦めたように納得した。


「兄上は優秀ですから、計画が上手いこといきそうな気しかしませんよ」


 むしろ、失敗する気がしないというか、と肩を竦めるアルフィオに、僕は首を振った。


「いや、そうでもないんだけどね。あんまり僕を過信しすぎない方がいい」


 ……現にクラリーチェはどこかに攫われた。
 本当は安全な場所で、僕の目の届く所で、ゆっくり穏やかに過ごしてほしい。


 ガチガチに囲い込むつもりなんてない。王妃だった頃と同じような境遇にさせたくない。彼女に重荷を背負わせる事だけはしたくない。


 自由に、無邪気に微笑む彼女が見たい。彼女が望む通りに生きてほしい。


 それでも、僕の側にずっといて欲しい。


 相反する想いが胸を焦がす。
 行き場も、答えも見つからない気持ちに蓋をして、僕はそっと後悔するように目を閉じた。