確かにそれは言えている。何としてでも自分の息子を王位に付けたいグローリア王妃様にとって、オリアーナ嬢も僕も邪魔で邪魔で仕方ないだろう。


「ウルヘル辺境伯はどうしているんだい?」

「ウルヘル辺境伯は反乱の兆しがあるって知らせをこちらへ寄越して、鎮圧に向かったみたいだよ。争いの芽は摘まなくちゃ」

「なるほど。つまり現状では辺境伯の軍勢で事足るという事だね」

「そうそう!だから要注意だよ、ファウスト殿下。……いつ何を第二王子派が起こすか分からないから」


 声のトーンを低くして、シストは僕に忠告する。僕は分かってるよと頷く。
 もう何度も暗殺されそうになったし、今更だ。


 椅子に掛けていた上着を羽織ると、シストは目を瞬かせる。


「あれ、ファウスト殿下どこかに出掛けるの?」

「ああ。少しアルフィオの所にね」

「りょーかい!僕は大人しくここで待ってるよ」

「ありがとう」


 執務室から出た所で侍従を呼び、付き従わせる。王城内とはいえ、王太子があまり1人でフラフラと出歩くことはない。そして、アルフィオの部屋へと向かった。