跡継ぎの王太子である僕が行くよりも、多分第二王子であるアルフィオが出ることになるだろう。


 アルフィオが出ると言っても、王族なので安全な場所にいるだろうが。


「反乱の兆しがある北部はウルヘル辺境伯の領土だよ。今の将軍はパオロ・クラウディウス。グローリア王妃様の弟だけれど、これと言ってまだ功績の挙げられてない新米の将軍……まあ、お姉さんのコネで将軍になれたから仕方ないよねー!」


 執務机の上に地図を広げて、国土の上の方にあるウルヘル辺境伯の領土をトントンと指差しながら、無邪気に語る。
 ウルヘル辺境伯領は元々70年程前は違う国だった。反乱が起こってもおかしくはない地域である。


 けれど、シストの無邪気な言葉に隠された意味を理解できない程僕は愚かではない。


「第二王子派の仕業の可能性があるということだね……」

「まあ、今の時期かなり疑わないと駄目だよね!アウレリウス公爵のオリアーナ嬢が成人間近なんだもの。成人したらファウスト殿下と結婚って国王陛下とアウレリウス公爵が乗り気なんだから、ファウスト殿下が強固な後ろ盾を得る前に何とか名前を挙げて、第二王子の評判を良くしたいって所なんじゃないかな?無駄な足掻きだよね」