だけれど、セウェルス伯爵の婚約者という事なら出入り可能になる。
 私みたいな愛人の子供達は、正式な貴族と婚約なり結婚なりしてから社交界にやっと入れるのだ。


 だから、私みたいな愛人の子供が年上の妻に先立たれた爵位持ちの男性後添いに事は決して珍しくはない。そして、大抵こういう場合は嫁ぎ先の前妻の子供がいて、跡継ぎを作るという重荷を背負わなくて済む。


 セウェルス伯爵も例外ではなく、私と同じくらいの年頃の子供が二男二女いるらしい。


 一度だけ会ったことがあるが、義理の息子となる男二人は貴族学校に通っており、義理の娘の方も行儀見習いとして王都の王城へと出仕しているらしい。


 伯爵家に入っても、家で滅多に顔を合わせることは無いらしいし、義理となる子供達も同世代の義理の母親なんてどう扱っていいか分からないだろう。
 顔合わせした時も、複雑そうな顔をしていたし。


「クラリーチェ。今日も君は美しいね」

「ありがとうございます。エヴァンジェリスタ様」

「年若い君を娶れるなんて、私は果報者だ」