だから、絶対に今世は幸せにしたいんだ。
 前世はたった17歳で儚くなった主を。





「きゃっ」


 後ろで短い悲鳴が上がった。
 足を止めて勢いよく振り返る。


 ーーなんで、今世も誰かが彼女の幸せを邪魔するのか。


「オリアーナ様。来ていただけますね?」

「なん……で?」


 口を塞がれ暴れる侍女を手刀で気絶させてみせた男は、我が家の家来だったはずだ。家で見たことがある。


 唖然とする私に焦れたように男は苛立ちを露に眉を寄せた。


「早くしろ。人が来る」


 その声が聞こえた瞬間、後ろ首に衝撃を感じて私の意識は途切れた。