私達はきっと過去に囚われている。


 変わらずに過去に囚われ続け、過去に願った願い事を今世で叶えようとしている。


 だって、人が変わろうと意識しない限り変われないのと同じように、変わりたくないと意識しなければ今世は今世でみんなまた違った道を歩んでいた筈だ。


 大事だった。
 幼い頃からずっと見てきたエレオノラ様の事が。


 憧れていた。
 エレオノラ様を一途に愛していたクリストフォロス陛下の事が。


 大好きだった。
 最初は傷の舐め合いでも、私を愛してくれたフォティオス様の事が。


 みんなの事を忘れてまで、みんなへの大切な想いを失くしてまで、どうやってまっさらな今世を歩めって言うの?


 エレオノラ様の自分の気持ちを押し殺した微笑みを思い出す。私はただ彼女の無邪気で幸せな笑顔を見たかった。