「オリアーナ嬢。お久しぶりですね」


 エレオノラ様の今の侍女らしいビアンカと名乗る栗髪栗目の女性にエレオノラ様の事を任せ、私は今世のお父様であるアウレリウス公爵を探す。
 会場にはいないらしいので、外に出たところで声を掛けられた。


「サヴェリオ様……。ええ、お久しぶりです」


 前世の夫であったフォティオス様が外壁に身を預けながら、腕を組んでじっと探るように私を見る。次に投げかけられた言葉は、先程の馬鹿丁寧な言葉遣いとは一転して、酷くぞんざい口調だった。


「クラリーチェ嬢の侍女と話していたようだが、お前は何をしていたんだ?」

「やだ、フォティオス様見ていらしたんですか。大した事ではありませんよ」

「当たり前だろう。イオアンナ、何を考えてクラリーチェ嬢に接触したんだ?」

「え、私がイオアンナって事を言っただけですけど……」