愛を捧ぐフール【完】

「ファウスト様と、幸せになりたい」


 呟いたら、その願いはストンと私の心の中に落ちてきた。


 クリストフォロス様は王様、子供の産めない私は要らない人間ーーそんな事、本当に思っていた?


 ファウスト様は王太子様、男爵令嬢の私は要らない人間ーーそう思い込ませていただけでしょう?


 私が要らない人間だと思うことで、彼の幸せを願っていられた。自分の幸せよりも、彼が幸せでいてくれる方が嬉しかったから。


 それでも、無理をして私を側に置いてくれたクリストフォロス様に、危険を冒してまで私に会いに来てくれるファウスト様に、私が思う彼の幸せは当てはまってはいなかったのだろう。


 前世(むかし)も今世(いま)も彼は私を必要としてくれている。


 万人から崇め、敬愛される国王よりも、彼は私を選んでくれている。そんなのずっと前から分かっていた事じゃない。