愛を捧ぐフール【完】

「エレオノラ様はファウスト殿下とどうなりたいのですか?」

「……ファウスト様、と、」


 本当は側にいたい。
 いつかのように、幸せだった頃のように。


 でも、もう私を締め上げるような苦しい恋は疲れてしまった。自分がどんどん醜くなってしまうような、そんな嫉妬ももうしたくないのに。


 ファウスト様が私のせいでやつれたり、傷付いたような表情もするのも、もう嫌だ。私の存在で彼をもう煩わせたくない。


 それでも、この恋を私は捨てることが出来ない。


 愛している。
 誰よりも私の味方だった。
 誰よりも私を大事にしてくれた。
 誰よりも私を想ってくれた。


 惹かれない筈が、ないでしょう?


 例えファウスト様が今世で同じ想いを向けてくれなくても、昔彼に誓った言葉のように私はファウスト様に愛を捧げ続けるだろう。


 だって、この身が、この心が、この記憶が幸せだった頃を覚えている。
 そして私は、それしか愛し方を知らない。