愛を捧ぐフール【完】

「お話……ですか?」

「ええ、お話です」


 にこにこと微笑むオリアーナ様に、私は困惑しながら頷いた。


「お隣、よろしいですか?」

「ええ、勿論です」


 オリアーナ様は優雅微笑んで、私の隣に腰掛ける。
 一体どうしたのか、と私は複雑な思いで彼女の整った横顔を眺めた。


「クラリーチェ様は今、恋をされていますか?」

「え……」


 夜空に浮かぶ月を眺めながら、オリアーナ様は唐突に私へ問い掛けた。思わず彼女をまじまじと見るが、彼女は相変わらず私の方を向くことはない。


「私、昔とても残酷な事を言ったんです。恋を知らない頃に、恋をする女の子にとても残酷な事を」

「残酷な事……?」

「愛されていると言ったんです。彼女がどんな思いで彼女の愛する人から離れようとしていたか、知らなかったんです」

「それは……、どういう事でしょうか?」


 聞き返すと、オリアーナ様は月から私に視線を移した。彼女の紅色の瞳が私を捉える。