愛を捧ぐフール【完】

 それでも私の侍女の何を考えているか分からない、けれど見透かすような栗色の瞳が不意に浮かんで、中々消えてくれなかった。


「どうかしたのかい?クラリーチェ」

「……え、あ……、なんでもありません」


 アウレリウス公爵とオリアーナ様が他にも挨拶回りに来た他の貴族の相手をしに行ったところで、私とセウェルス伯爵は二人でその場を離れた。


 しかし、私はファウスト様との関係を見抜かれてしまったのではないか、との不安が顔に出ていたのだろう。
 私の顔を覗き込んだセウェルス伯爵は心配そうな顔をした。


「顔色が悪い。人混みに酔ったかい?」

「ええ、そうかもしれません……」

「少し夜風に当たってくるといい。私はまだ挨拶を済ませていない人の所へ行ってくるよ」

「すみません……」

「気にする事はないよ。気を付けてね」