私と婚約者である伯爵様とは二十近くも年が離れている。資産をもって成り上がった私のお父様がもっと上にのし上がる為に選んだのが、私の婚約者であるエヴァンジェリスタ・セウェルス伯爵だ。


 今、王太子である第一王子と第二王子とが対立しているこの情勢で、王太子派であるセウェルス伯爵とお父様の結び付きを深める為でもあるのだろう。


 最初に会った時は体型が丸いのもあってか、穏やかで争い事には無縁そうな方だとは思った。だが、そう見せかけたやり手なのだろう。王太子一派で1番力を持っているザッカリア・アウレリウス公爵の身近にいる人らしい。


 ザッカリア・アウレリウス公爵は、ファウスト様の婚約者の令嬢の父親でもある方だったりする。


「やあ、クラリーチェ。いつも綺麗だ」

「ありがとうございます。エヴァンジェリスタ様」


 短い金髪に丸々とした体型の私の婚約者に、ニコリと笑みを浮かべる。昔王妃をやっていただけあって、私の笑顔は中々崩れない。


 たまに我が男爵家に訪れるセウェルス伯爵を迎えるために、お父様は私を本邸に呼ぶ。その時は、私はセウェルス伯爵とお父様の話を側で聞くことが多い。