アルフィオに手伝わせているのは本当だ。使える人材は上手く使うのが上に立つ者の役目。一から十まで上の人間がする必要はない。


 ……なんて、王太子位の仕事で僕が参る訳がない。一度は一国を背負っていたのだから、あっさりと終わらせてしまう。


 正直、それが僕が優秀だという噂になってしまうらしく、加減が難しかったりする。前世から慣れ親しんだ事……というか、出来て当たり前だった事を褒め称えるとは思わなかった。


「いいえ!ファウスト様も頑張ってます!私、知ってますから!」


 握り拳を作って力説するオリアーナ嬢に、僕は余所行きの微笑みを浮かべた。


「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」

「ファウスト様は謙虚すぎます……」

「そうかな?」

「ええ!」


 これがクラリーチェだったら、僕は舞い上がっていたのだろうか?舞い上がりまではしないかもしれないが、喜ぶ事には間違いないだろう。