「それは……どういう事ですか?」

「君は20も年の離れた男のただの後妻で収まるよりも、もっと楽しい事をしたいとは思わないのかね?」


 相変わらず人当たりのいい笑みを浮かべ続けるセウェルス伯爵が、私をただの道具として見てる事はどことなく分かっていた。
 けれど、私に何をさせようというのか。


「いいえ……、いいえ、思いません」

「これはこれは残念だね」


 全く残念と思っていないような朗らかな声で、セウェルス伯爵は笑う。
 フォティオスお兄様が私に興味を持った理由は何となく分かる。昔も妹想いだったから、きっと私が20も年の離れたセウェルス伯爵の後妻になる事を阻止しようとしているのだろう。


 セウェルス伯爵が何を企んでいるのかも、フォティオスお兄様が私の事について関わる事にも、この状況に何も出来ない自分が一番歯がゆかった。