こんな寝台に寝たきりの状態でお兄様とはいえ、男の人と会える方が普通ではないのだ。


 フォティオスお兄様の肩を掴んだクリストフォロス様を、フォティオスお兄様は振り返って憎々しげに睨み付ける。
 その表情を見たクリストフォロス様はほんの少し眉を寄せたが、黙ってその視線を受け入れた。


 友人同士だった彼らの険悪な様子などはじめて見た。


「……フォティオスお兄様。私は幸せです。クリストフォロス様に愛されているんですから」

「エレオノラ……!」


 フォティオスお兄様はクリストフォロス様から視線を外し、呻くように私の名前を呼ぶ。


「俺にもっと力があれば、隣国の要求を飲まなかったものを……!」

「それは僕もだ。フォティオス」

「大丈夫です。仕方なかったのです。どちらにしても無理だったのです」