伯は、小学生から高校に入るまで両親の仕事の都合でずっとフランスに住んでいた。そのため、フランス語が話せる。

伯と麗愛は、一応幼なじみだ。家も近所で親同士仲がいい。

しかし、麗愛には伯との幼い頃の記憶がない。麗愛が気付いた時には、伯はもうフランスに引っ越していた。そのため、幼なじみだというのに普通の先輩と後輩のように接している。

しかし、二人の関係はただの先輩と後輩ではない。

「je t'aime(愛してる)」

甘い台詞の後、麗愛の頰は優しく包まれる。そして唇が優しく重なった。



伯と麗愛が付き合いだしたのは、伯が日本に帰国してすぐのことだった。

麗愛は伯のことなど知らなかったのだが、両親が「一応幼なじみなんだし、会って来なさい」と言ったため挨拶に行った。

「こんにちは〜!お隣の奥村です。何か困ったことがあればいつでも声をかけてください」

そう挨拶をすると、伯のお母さんは「もしかして麗愛ちゃん?」とはしゃぎ、伯を呼びに行った。