「俺の初恋はお前だ。今も、これからも…」

伯がポケットから手を出す。そこにあったのは、指輪。ピンクの石のついたかわいい指輪だ。

「恋人じゃないって言ったのは、俺は家族になりたいと思っているからだ。……Moi pour me marire(俺と結婚してくれ)」

指輪が、ゆっくりと麗愛の薬指にはまっていく。それを麗愛は振り払わずに見つめていた。

全て、誤解だった。それが何よりも嬉しかったのだ。

指輪は、麗愛の指にぴったりだった。嬉しすぎて麗愛は微笑む。もう悲しくなどない。

「返事は?」

伯が少し不安げに麗愛の目を見つめる。麗愛はとびきりの笑顔で言った。

「Oui(はい)……幸せにしてください」

伯の顔が赤く染まる。そして次の瞬間、麗愛は伯の腕にすっぽり覆われていた。

「よ、よかった…。紛らわしいことをして、本当にごめん」

伯が麗愛を抱きしめながら言う。麗愛も、「私の方こそ、ごめんなさい」と謝った。