「竜王の番は婚姻するときに血の契約をする。契約を交わした番は竜王と共に暮らすために長生きをする。二人がバランスを取るように一緒に年を取っていくーーーもしかしてそれを知らなかったのか?」
目の前のクリフ様は驚いた声を出した。
いや、そんなこと知らなかった。
そんなの誰も教えてくれなかったし。
私の表情からそれを読み取ったクリフ様が絶句している。
やがてゆるゆると私から視線を外すと私の頭の向こう側の夜空に向かって話しかけるように苦しそうに声を出した。
「すまない。てっきり講義をしている他の者たちから聞いているのだと思っていた。・・・また私は間違えてしまったのだな。こんな大事なことを伝えていなかったとは」
そう言って大きなため息をついたのだ。
「ねえ、クリフ様」
私は彼に握られた左手をくいくいっと引っ張って私を見てとアピールし彼と目線を合わせて問いかけた。
「何も持たず何も出来ない私にこの国の王妃が務まると思いますか?」
クリフ様はなにを言うのかと驚いたような顔をした。
「楓は既にこの宮殿に勤める者達の心を掴んでいる。心配する必要などどこにもないのに何か心配なのか?」
「もちろんすべてが心配です。でも、クリフ様がいつでも一緒にいると約束してくれたら・・・そうね、大丈夫かもしれないですね」
私がふふふっと笑うとクリフ様の表情も緩んでいった。
「それは了承したと思っていいのだな?」
「はい」
それは上弦の月と星たちが輝く夜のことだった。
目の前のクリフ様は驚いた声を出した。
いや、そんなこと知らなかった。
そんなの誰も教えてくれなかったし。
私の表情からそれを読み取ったクリフ様が絶句している。
やがてゆるゆると私から視線を外すと私の頭の向こう側の夜空に向かって話しかけるように苦しそうに声を出した。
「すまない。てっきり講義をしている他の者たちから聞いているのだと思っていた。・・・また私は間違えてしまったのだな。こんな大事なことを伝えていなかったとは」
そう言って大きなため息をついたのだ。
「ねえ、クリフ様」
私は彼に握られた左手をくいくいっと引っ張って私を見てとアピールし彼と目線を合わせて問いかけた。
「何も持たず何も出来ない私にこの国の王妃が務まると思いますか?」
クリフ様はなにを言うのかと驚いたような顔をした。
「楓は既にこの宮殿に勤める者達の心を掴んでいる。心配する必要などどこにもないのに何か心配なのか?」
「もちろんすべてが心配です。でも、クリフ様がいつでも一緒にいると約束してくれたら・・・そうね、大丈夫かもしれないですね」
私がふふふっと笑うとクリフ様の表情も緩んでいった。
「それは了承したと思っていいのだな?」
「はい」
それは上弦の月と星たちが輝く夜のことだった。