こくこくと頷く彼らを残してクリフ様の分のランチをトレイに乗せて私は衝立の奥へと足を踏み入れる。

彼に背を向け本棚の隣にあるテーブルにトレイをそっと置くけれど、デスクに座りヘインズさんと打ち合わせをしているクリフ様は私に気が付いていない。


「クリフォード様。昼食をお持ちしました」
してやったりと満面の笑みをうかべて胸を張るとクリフ様に向かって声をかけた。

「楓か?!」
顔を上げたクリフ様は呆気にとられた顔をしている。

「どうした、その格好は」

うふふふふ。
「似合う?」

「可愛いけど、驚いたよ。まさかメイドの格好をしてるなんて」

クリフ様は立ち上がり私の前に立つと、私のメイド姿をまじまじと見つめる。

「サプライズ成功~」
やったーと両手を上げてはしゃいでみせると
あははははと大笑いする声が。

「か、楓ちゃんサイコー」
ラルフさんが壁際でお腹を抱えて笑っていた。

うわ、ラルフさんもここにいたんだ。気がつかなかった。

「ラルフ、しばらく席を外せ」
クリフ様がぶっきらぼうにいい放つと私をその背に隠した。

「へいへい。お邪魔しました」

「昼メシ、俺の分もあるよねー?」
衝立の向こう側から声がした。

「皆さんの分ももちろんあります」
声を張って返事をした。

「サンキュー。あっちで食って来るから。あとよろしくー」

ラルフさんの陽気な声にクリフ様はため息をついた。
「いちいちうるさい奴だ」