「おはようございます。楓さま。私にご用があるとか?」

「ヘストンさんおはようございます。こんな時間からすみません。実は急いでお願いしたいことがありましてーー」

クリフ様にはサプライズにしたかったから、ヘストンさんに週に一回程度クリフ様に昼食を差し入れたいこと、それを自分で作りたいことを相談したかったのだ。

それを聞いたヘストンさんは喜びを顔にみなぎらせた。

「是非とも協力させてくださいませ」

「ええ、それで、ここの厨房を借りていいのかとか食材をどうしたらいいのかとか、竜王様に提供するのだから毒見とかが必要なのかとかね、とにかく思いついたのはいいのだけれど、たくさんわからないことが多くて」

「お任せ下さい、楓さま」
笑顔で目元の皺をさらに深めたヘストンさんが私に一礼をした。

「すぐに厨房の筆頭調理人に話を通しましょう。彼もきっと喜ぶはずです」

「ありがとうございます。お願いします」

力のある協力者を得て私の頭の中には差し入れしたいメニューとそれをクリフ様が喜んでくれるかどうかってことで頭がいっぱいになっていった。

ああ大学で栄養学も学んでおけばよかった。