「行ってくる。今夜は夕食も一緒に取ろう」
「はい。お待ちしてます。行ってらっしゃいませ」

仲良く朝食を取った後、クリフ様は私の頬に軽いキスをして護衛と共に出て行った。

笑顔で手を振って見送った後、私はオリエッタにヘストンさんに使いを出して欲しいとお願いをした。

「楓さま、今日はずいぶんとお二人共にご機嫌ですね」

エメに言われて私は頬を染めながら胸を張った。

「夕べやっと二人でゆっくりお話しすることができたの。私がいると癒されるんですってね。特別な番って言われて嬉しかったわ」
正直な気持ちを吐露した。

「それとね、今日から週に一回クリフ様にお昼ご飯を作って差し入れようと思うの。番がすることは全て特別なんでしょ?」

まあ!っとエメだけでなく、ネリーもオリエッタも私の護衛を含めてその場にいた者が皆歓声を上げた。

私が自分をクリフ様の番だと認めるような発言をしたのはこれが初めてだったからだ。

「楓さまがとうとうーークリフォード様よかった・・・」とオリエッタは目を潤ませ、
「やっとですかぁー」とネリーは小さく笑い出した。

「クリフォード様も楓さまの頬にキスされていたしお二人の雰囲気が違っていましたもの。やっと収まるところに納まったんですね」
パメラが目を輝かせている。

室内にいた男性の護衛さんも嬉しそうだけど、私はちょっと恥ずかしい。
私はクリフ様が好きなのーってみんなの前でカミングアウトしたようなものだからね。

私の発言はあっという間に離れの館の中に広まり、ヘストンさんが来る頃には館中にはしゃいだ空気が広がっていたのだった。